内務府



内務府(平成23年(2011)3月19日、管理人撮影)。西洋式の建物となっている。

 内務府はフエの皇城(阮朝王宮)内の西側に位置した官房である。幾暇園の南、肇廟の北、皇城の東台の東、紫禁城の西に位置する。内務府は皇帝の生活実務を司る役所で、日本でいうところの宮内庁にあたる。

 内務府の正面前に友収所、左に内造所、右に督工所、後方に十箇所の号庫(番号付された倉庫)をはじめとした倉庫群があったという。門は三箇所あり、正面を内務門、左を内造所門、右を督工所門といった。内務府には侍郎が設置され、侍郎が内務府を司り、その下に郎中・員外郎、主事・司務・属司・書吏が属した。また内務府の左にあった内造所は別に管員が設置され各匠局がすべてその傘下にあった(『大南一統志』巻之1、京師、官署、内務府)

 内務府は嘉隆年間(1802〜20)に設置された当初は内図家といい、紫禁城の興慶門の左(東側)に位置していたが、明命元年(1820)に現行の内務府に改名され、明命18年(1837)に移建された。その後建物を西洋式に改め、二階建となった。この時内務府は貯蓄などを行なう場所に位置付けが変更され、それに伴ってそれぞれの号庫は暫時撤廃された(『大南一統志』巻之1、京師、官署、内務府)。内務府の現在の建物は保大13年(1933)に建造されたものである。


皇城図・『大南一統志』巻1より内務府部分(松本信広編纂『大南一統志 第1輯』〈印度支那研究会、1941年3月〉46-47頁より転載。同書はパブリック・ドメインとなっている)



内務府(平成23年(2011)3月19日、管理人撮影)



内務府の祠(平成23年(2011)3月19日、管理人撮影)



内務府後方の倉庫群(平成23年(2011)3月19日、管理人撮影)



内務門(平成23年(2011)3月19日、管理人撮影)。「迺兵衛門」の扁額がかかる。



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