裏愛宕道・ウジウジ峠・首無地蔵



愛宕道(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)

 京北から愛宕山に登ってみました。約13kmの道程です。

 京都市右京区京北細野町のJRバス愛宕口バス停(外部リンク)で下車して、「ペンション愛宕道」の看板のところに入ります。

 この愛宕道の入口のある京北細野町は、現在でこそ京都市右京区に編入されていますが、かつては丹波国北桑田郡に属する地域で、京都市街の西端からは周山街道を通過して15km離れており、歴史的・風土的に密接な関わりがありながらも、異なった地域となっています。

 愛宕道の入口から2kmほどアスファルト舗装された道を歩くと、写真下のような三分岐点にあたります。左端はそのまま浄水路へと通じる道で、中央は田尻峠への道、右は裏愛宕道となります。

 今回は裏愛宕道に行きます。


愛宕道の分岐点(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)

 裏愛宕道は田尻谷川に沿って4km続く道です。北桑田郡の人々が愛宕神社に参詣するために用いられた道で、現在は林道として用いられています。

 アップダウンはあまりないのですが、車が通ることができるため、大して面白い道でもなく、ひたすら同じような道が続く上、アブが多いのでウンザリしていました。


裏愛宕道(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



裏愛宕道の巨岩(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)

 裏愛宕道を歩くと、榧ノ木峠とウジウジ峠の分岐点に当たります。

 そのまま直進してウジウジ峠に進みます。


ウジウジ峠入口(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)

 ウジウジ峠は標高650mほどのところに位置する峠で、口碑では、ここに位置した「雲心寺」が訛ったことからの名称ともいい、現在、地名では雲心寺の名が残っています。

 ウジウジ峠は現在でこそ立木に覆われていますが、左側に京都市街を展望できる峠です。しかし電化製品が大量に投棄してあり、しかも裏愛宕道のように立木が天を覆っておらず、また川もないので、天から直接ふりそそぐ日光が、茶色の地面を照らし、しかも横には電化製品が投棄してある、このような荒涼とした印象のある峠になってしまっています。


ウジウジ峠(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



ウジウジ峠からの京都市街の眺望(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)

 雲心寺は寛喜2年(1230)の「主殿寮御領小野山与神護寺領堺相論絵図」には、「雲心寺旧跡壇」とあるように、この頃までには廃寺となっていたようです。ウジウジ峠より100mほど谷側くだったところに跡地があります。ここから9世紀頃の遺物が採取されています。


雲心寺跡(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



ウジウジ峠とダルマ峠の交差(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



ウジウジ峠(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)

 ウジウジ峠をしばらく歩くと、写真下のような分岐点にあたります。この道を右側に行くとサカサマ峠です。

 サカサマ峠を行くと首無地蔵がみえます。


ウジウジ峠とサカサマ峠の交差地(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



サカサマ峠(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



サカサマ峠からの京都市街の眺望(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



サカサマ峠からの京都市街の眺望(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)

 サカサマ峠を行くと、右側に首無地蔵がみえます。愛宕神社へは首無地蔵横の尾根道を通ります。

 かつて愛宕神社へはサカサマ峠からも行くことができましたが、災害により寸断されて現在は行くことができません。かつて裏愛宕からサカサマ峠をへて愛宕神社に行く道は、距離こそ長いものの、アップダウンが少ないため、足の疲労感が少なく、きつい山道が多い愛宕山の中では唯一の緩やかな道でした。現在は寸断され、しかも屋根道は意外ときつい道となっています。


首無地蔵(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



愛宕屋根道付近からの京都市街の眺望(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



愛宕屋根道付近からの京都市街の眺望(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



愛宕屋根道(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



愛宕屋根道からの京都市街の眺望(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



愛宕屋根道(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



愛宕屋根道(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)

 愛宕屋根道は鎖道などがあり、意外に急な道となっています。途中分岐をへて愛宕神社にむかいます。


愛宕屋根道の分岐点(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)



愛宕屋根道(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)

 屋根道を歩くこと2kmほどで愛宕神社に到着します。

 あとは左側の階段を登るだけです。


愛宕神社(平成24年(2012)8月16日、管理人撮影)

[参考文献]
・金久昌業『北山の峠』中(ナカニシヤ出版、1979年11月)
・屋木英雄・丸川義広・宮原健吾・高橋潔「京都・愛宕山中の遺跡-雲心寺跡の発見」(『仏教芸術』259、2001年11月)
・『京都一周トレイルコース公式ガイドマップ 北山西部』(京都一周トレイル会、2009年7月) 





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